コロナについてのニュースが毎日のようにテレビやネットニュースで流れてくる今日この頃。
目に見えないウィルス、いつ終わるやわからない自粛要請...。そんな中、不安や恐怖心、ストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなストレスを和らげ、いたずらにネガティブにならないための必須のスキルの1つ、「感情のラベリング」のテクニックについて紹介します。
感情の「ラベリング」とは?
人間の脳には「扁桃体(へんとうたい)」という部位があります。(下の写真の赤い部分)
扁桃体は、恐怖や不安の感情と関係している部位で、そうした感情を感じると活性化します。
しかし、研究によると、この扁桃体は、「自分が今感じている怖れや不安を言葉で言い表す」ことで鎮静化することがわかっています。
これが「ラベリング(感情の言語化)」という心理学の手法です。
「ラベリング」とは?
=今の自分の感情を言語化すること。
➡︎恐怖、不安を感じる扁桃体が鎮静化する
普通の人は、漠然とした恐怖心や不安を感じると、その”正体”をつきとめることなく、いたずらに焦ったり、「どうしようどうしよう」と右往左往してしまいます。
しかし、それだと怖れや不安が解消されないどころか、ますます悪化してしまうこともあります。
まず最初にするべきなのは、今自分がどんな感情を感じているかに「気づき」、それを「言葉にする」こと。
このラベリングの効果についての研究として有名なものを紹介します。
クモ恐怖症の克服の事例
クモ恐怖症の人たちを3つのグループに分け、それぞれ別々のアプローチを行い、恐怖症がどれだけ緩和されるかを実験。
最初は、ガラス越しにクモを眺めるところから始まり、徐々にクモとの距離を縮めていきます。
グループは以下の通り。
1. クモが無害であることを説得されるグループ(楽観的思考)
2. クモへの注意をそらすように誘導されるグループ(経験の回避)
3. クモへの恐怖心を言語化するグループ(感情のラベリング)
この中で、クモへの恐怖症の克服に最も効果があったのは 3 のグループ。
彼らは、「噛みつかれそうで怖い」「クモの動きが気持ち悪い」などと自分の感じていることを言葉にすることで、彼らの不安感は軽減したんですね。
一方の 1 と 2 のグループは、恐怖心を悪化させる結果となってしまいました。
ネガティブな感情が出てくると、ついつい「ポジティブじゃなきゃ!」みたいに考えてしまって、不安や恐れを隠そうとしてしまうことがありますが、むしろそれは逆効果ということ。
自分の感情を言語化し、素直に認めてあげることが大事なんですね。(これを「自己受容」と言ったりもします)
感情のラベリングのもう一つの効果
「感情のラベリング」を習慣にするとにはさらなる良い効果があります。
それは、恐怖や不安の感情がしずまることで、その奥に隠れていた「自分の本当の欲求」が浮かび上がってくること。
表面的な自分の感情にふりまわされているうちは、情熱や使命といった「自分が本当にやりたいこと」は見えてきません。
しかし、自分のマイナスの感情を受け入れることができるようになってくると、自然と自分の本音に気づきやすくなっていきます。
ラベリングの真の効果
恐怖や不安の感情がしずまることで、その奥に隠れていた「自分の本当の欲求」「自分の本音」が浮かび上がってくる
自分自身の本当の欲求を知り、それを大切にすることは、人生において最も大切なこと。
怖れや不安を感じない人はいません。しかし、前に進める人というのはそれらの感情に上手に対処することができる人なんです。
不安に襲われているひとは、「自分は不安なんだ」と言葉で言えません。 一方、平然としている人は「不安なんだよね」と言葉で言えます。
メンタルが強い人は、不安や恐怖を感じない人ではありません。むしろその逆で、自分の感情を正直に受け入れているということです。
ある有名なプロ野球のピッチャーにアナウンサーがこんな質問をしました。「重大な場面でマウンドに上がると緊張しますよね?」そのピッチャーは「緊張するのは構わない。一番怖いのは自分が緊張しているのがわからなくなること」と答えていました。
アクションプラン
要するに 、
アクションプラン
恐怖心や不安を感じた時は、 「自分は○○が怖い」と言葉で表すこと。ノートに書き出す。冷静になれたら、さらにまたその時の気持ちを言語してみる。
勇気のある人とは恐怖心がない人のことではない。 怖いと認めた上で、自分の信じることに向かって一歩踏み出せる人のこと。
多くのひとが、自分の人生の本当の欲求にたどりつかないのは、 恐れや不安がある場所を避けようとするからです。
やりたいこと・情熱・使命・天職。そうした人生を動かす欲求は、恐れや不安よりももっと奥にあるのです。
まとめ
アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領は、次のような言葉を残しています。
"The Only thing we have to fear is fear itself."
ー我々が怖れるべき唯一のことは恐怖そのものである
不安や恐怖心の奴隷になるのではなく、それらを受け入れた上で、本当の自分の欲求にしたがって生きていきましょう。