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仕事ができる人になるためには、「〇〇の設定」が9割。

OMNI16

「人文知」と「事業」の探究者|法人1社と個人事業1つを経営|大学卒業後、内定企業を蹴って人文知・リベラルアーツを濃密に学ぶ道へ|その後、財務・IT分野を経験して独立|リベラルアーツ・歴史・哲学・経済|

仕事ができる人は、「イシュー(問い)の設定」が上手い

全ての仕事には必ずイシュー(問い)があります。

「仕事は問題解決である」とも言われますが、この「問題」に当たるのが「イシュー」です。仕事ができる人はこのイシューの設定がとても上手です。

私の身の回りの成功している経営者を観察していると、抜群に解くべきイシューを見つけるのが早く、しかもその精度も高いなと感じます。一般的な社員と経営者の差は、まさに「問いの設定力」にあると言っても過言ではないです。

問題解決力の高い人、仕事ができる人は、イシュー・問いの発見力が高いのです。

誤った問題設定に対して正しい答えを出すことは、全く無意味であり害になることすらあります。何よりもまず「正しい問題設定」が大事なんですね。

 

発展途上国の「保育器不足」の問題の例

ここでは「発展途上国における保育器の不足」の問題の例を取り上げて、正しい問いの設定の大切さについてシェアしていきたいと思います。

発展途上国では、新生児用の保育器が足りないという問題が常に存在します。

この問題に関して、長年にわたって保健機関や慈善団体は次のような問いを設定してきました。

「どうすれば保育器を、それを必要としている場所に提供できるだろう?」

この問いに対する回答として、彼らがこれまで出していた答えが「(先進国が)寄付せよ」だったわけです。

この発想に基づいて、実際に、たくさんの保育器が先進国から貧困国・発展途上国に寄付されたわけですが、予想もしない結果が生まれてしまいました。

「寄付された各国とも”保育機の墓場”になってしまった(ニューヨークタイムズ)」のです。

どういうことかというと、外国から寄付された医療機器保育器の96%はほとんど使われることなく廃棄されてしまったと。

当時この問題に取り組んでいた衛生局の職員達は、この現実を目の当たりにしてショックを受けつつも、もう一度現場の現実をよく”観察”することにしました。そして、正しい問いにたどり着くことになります。

「発展途上国の人たちは。なぜ手持ちの保育器を使わないのだろう?」

これは現場の実態を深く観察して明らかになったことでしたが、保育器は壊れやすいのに現地の人達はそれらを直す部品もノウハウもなかったのです。

そこで担当職員は、次の問いの設定に移ります。

「維持と修理が簡単な保育器を提供したらどうなるだろう?」

こうした観察と検証のプロセスの中で、この運動にかかわっていた医者の一人であるジョナサン・ローゼンは「保育器問題を抱えている地域の多くでは、自動車と自動車部品が容易に手に入る」という事実を知ります。

そこで、

「どうすれば自動車部品から保育器を作れるのか?」

という最終的な問いにたどり着きます。

この問いに基づいて、非営利の設計グループの協力を得てこの問題に一緒に取り組んでもらい、小さな部品から「自動車パーツ保育器」を組み立てることに成功しました。安くて使いやすく、誰でも簡単に修復できる保育器ができたことにより、保育器不足の問題は解決に向かったそうです。

 

「観察」から出発し、「問いの進化」を促せ。

上記の事例からもわかるように、正しい問いの設定をするためには、よく現場を観察しなければいけないということがわかります。

誤った思い込みや不完全な情報によって最初の問いの設定を間違えると、その問いに正しく答えれば答えるほど誤ったソリューションに向かうことになります。出来る限り現実に即した問いを設定することの大切さがここから分かるはずです。 

さらに、「イシューは進化していく(させていく)ものである」ということがわかります。最初に設定した問いをより精緻にしていくプロセスというのが欠かせないのです。

 

「質の高いイシュー」をつくるためのオススメ本

最後に、質の高い問い・イシューを立てられるようになるためのおすすめの書籍をシェアします。特に『イシューから始めよ』は必読です。

 

『Q思考』は、イノベーターにとって「問う力」「質問する力」がどれほど大切かを、あらゆる角度から説明し切った良書です。


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